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『わさびアイス in 天城』
2007年4月3日
▲さぁ、わさびアイスを食べに行こう・・・。





曇天の朝。

風もあって、やや肌寒い一日の始まり。



以前、楽寿園で初めて『わさびアイス』を食べたのだけれど、ここ静岡において、『わさび』といえば天城らしい。

そんなことを聞いて、さっそく天城へ行ってみることにした。


もちろん自転車で、、、。









一体いつになったら着くんだろう・・・。

1時間以上自転車をこいでいるのに、一向に近づいている気配が感じられない。








(・・・・・・無理。)


そもそもこれ以上進んでも、戻れない・・・。




近くの駅の自転車置き場に自転車を止める。
あきらめの早さには定評がある。

むしろここまでよく頑張ったと思う。

自分への甘さにも定評がある。




今回のあきらめポイント『伊豆長岡駅』


ここから電車にて修善寺駅へ向かうことにした。



伊豆箱根鉄道の車窓から。

(電車っていいな・・・。)
文明に酔いしれるひととき。


約20〜30分後、修善寺駅に到着。


もちろん迷わずバスに乗る。













▲約40分後、天城・昭和の森に到着。自転車の旅がいかに無謀だったかが思い知らされる・・・。







ほぼ山の中。

(・・・・・・寒い。)

日差しも無くて風が吹いていて、山の中にいたら寒いのも当然。

そもそも軽い気持ちでアイスを食べに来るような場所ではない。





気を取り直して、わさびアイスを買いに行く。

遠目に見ても『わさび』の看板が目立つ。







▲当然のようにある『わさびアイス』。




早速『わさびアイス』を購入。

ほんのりと淡い緑色をしている。

(・・・・・・・・・。)

周囲からの視線が痛い・・・。

この寒さで、アイスを食べている物好きは一人もいない。



「あ、あの人アイス買ったよ、凄いね。」
「この天気でアイスって・・・。」
「寒くないのかなぁ・・・。」


心無い素直な罵声が心をえぐる。


(そんなことは、わかってるさ・・・。)
(ああ、寒いさ・・・。)
(2時間以上かけてアイス食べにきてますよ。)
(ええ、えぇ、頭おかしいですよ。)

言葉に出来ない心のつぶやきが、頭の中をぐるぐる巡る。



味的には、さほど『わさび』が強いわけでもなく、結構バクバク食べられる。

このわさびアイスは中々食べやすい。

昔からアイスクリームは、ちびちび舐めるよりバクバク食べるのが好きなので、食べ終わるのも早かった。


そしてめっきり身体が冷えた。









▲タイプの異なる『本生わさび付き』のものもある・・・。

常識では考えられない構図。


カウンターにはわさびとわさびおろしが置いてある。

慣れた手つきで片手でわさびを擦りおろすおばさん。

そしてなんの迷いもなくアイスの上へ。


▲生まれて初めて見る斬新なコンビネーション。本生わさびとアイス。


短時間で2本目のアイス。

スプーンでわさびを散らして恐る恐る食べてみる。

(・・・・・・。)
(・・・・・・・・・・。)
(あ、そんなに変ではないかも・・・。)
(いや、変か・・・。)

一瞬わさびの味覚を感じとった直後、一気にアイスの甘さが口の中に広がる、

非常にコメントが難しい味だ。

とりあえず、わさびは美味しいし、アイスも美味しい。

ツンとするわさび独特の風味は感じられなかった。


そしてもちろん心底冷え切る身体。


(なんかもう帰りたい・・・。)


近くにある鑑賞用のわさび田。
常に水が流れている。


手の届く距離でわさびを鑑賞。

特に心が和むというわけでもなく・・・。







来る途中、バスで通過した『浄蓮の滝』へと向かう『踊り子歩道』がある。

速攻でバスに乗ってもよかったのだけれど、せっかくなので少し歩いてみることに。



▲サンダル履きには、少々厳しい道のりか・・・。。




一旦道路に出なければならない『踊り子歩道』。

そして歩道が、、、ほぼ無い。





程なくして車道から歩道へ。




浄蓮の滝へは、坂を下るハズなのに何故か歩道は上り坂。

早くも後悔が表情に表れ始める。



自然の真っ只中、、、心地よい道、、、。

晴れていればね。多分。





誰一人として歩いている人がいない。

「寒いよ、、、。」

「ああーー!!」

「寒いよー!!」

やり場のない想いが、叫び声へと変わる。


山は何も悪くない。



▲日差しが無いのに木陰が健在。杉葉が風に揺られてシャワシャワと音がする。




途中には休憩できる東屋もあった。

もちろん誰もいない。




やや舗装された道にでる。

見上げると電線が危険な状況にさらされている・・・。






▲途中で迷い込んだ『イノシシ村』。予想外の出会い。


本気で非公式に迷い込んでしまったので、逃げるように戻った。




微かに日差しが見え始める午後。

多少歩いたこともあり、寒さも紛れてきた。



そんなわけで、ようやく浄蓮の滝に到着。

結局40分くらい歩いた。




やや急な下り階段を降りていく。

ここは観光客がチラホラと見られる。





▲中々の景観。曇りでも際立つ水の青さ。



滝のすぐ脇にある見事なワサビ田。




ちょっと遠目に再度滝を一瞥。

さて、そろそろ戻ろう。


一人できている以上、感慨にふける感情は持ち合わせていない・・・。





そしてやっぱりある『わさびソフトの店』。

お客さんのように見える人だかりは、実際はスタッフ。

やはり周囲にアイスを食べている人は見当たらない。

出来ることなら素通りしたい・・・。



自分は何の為にここに来たのか?という自問自答や心の葛藤が繰り返される。



「・・・わさびアイスください。」
「はいはい、わさびアイスね。甘口と辛口があるけど?」
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」

「・・・あ、あまくち、、、で。」
「はい、甘口ね」
「・・・・・・。」

別に逃げた訳じゃない。

本当に寒かったんだ。

出来る限り刺激を避けるよう身体が訴えていたのだと思う。


▲今までのコーンタイプと違って、カップタイプは量が多い・・・。。



ワサビ色に見えないのは、
「ウチのは一切着色料を使っていないから。」
だそうだ。

「へぇー!そうなんですか!?凄いですね!」
(※訳:へぇ、そぉなんだ・・・へぇ、、、。)

感情を表情に出さないのも、笑顔で嘘をつくのも、ガイド時代に培った技術。



まぁ、アイスに罪は無い。

実際アイスは美味しかった。

いや、それはず〜っと前からわかっている。

あくまで『わさびアイス』を美味しくいただくことが大事。


(さて、、、。)



「・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「すいません、わさびアイスください。辛口で。」
「今度は辛口?ありがとうね。」


不審者にも元気に対応してくれるおばちゃん。


裏のほうでクスクスと笑っているスタッフのお姉さんが見えた。


▲辛口はストローの色が黄色らしい。色はやはり変わらず白。


観光客が多い場所なだけに、人目が多い。

照れ隠しをフォローする相手がいないので、人目を避けて一人寂しく黙々とアイスを食べる。

正直な話、あんまりワサビとか気にならなかった。

精神だけじゃなく味覚もおかしくなっていたのかもしれない。



(さて、帰るか・・・。)



途中から自転車での道のりを考えると、やや気が重い。

出来ることなら電車で一気に帰りたい。

最初から電車でくればよかったと後悔することしきり。


照れ隠しにアイスと一緒に購入した『わさび豆』。

味はまあまあ。



結論から言うと、天城はワサビもアイスも美味しい。

それでいいと思う。



いつの日か、わさびアイスの話題を誰かに話すときは、せめて『一人で来た』という部分を捏造することにしたいと思う。



結論:天城はいいところです。

以上。



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